適性試験対策~コンサルタント転職ノウハウ(3)~
コンサルティングファームでは、人材選考の判断材料として適性試験(適性検査)を実施します。
性格面と知識・能力の二面において、求める人物像に近いかどうか判断していくものです。
書類作成や面接と同様に、適性試験についても事前に対策を講じる必要があります。
ここでは、適性試験の具体的な対策についてご紹介します。
1.主な適性試験
まず、SPI(総合適性検査)という全国で最もメジャーな適性検査があります。SPIはリクルートマネジメントソリューションズが提供している適性検査で、コンサル業界に限らず広い業界で採用されています。
SPIには性格検査と能力検査があり、性格検査では、行動特性・意欲・情緒の内容を踏まえて、業務に対する性格的な適性を確認していきます。
能力検査では、言語・非言語・英語力の各分野に関する問題や、一般教養について出題され、出身校名に左右されることなく、一人の社会人としての能力を確認していきます。
人事コンサルティング会社の日本エス・エイチ・エル社によるWEBテストの玉手箱やGABというテストもあります。SPIと同様に能力を測定するテストになります。計数・言語・英語問題、性格適性のジャンルで出題されています。
ヒューマネージ社が提供する適性試験TG-WEBもあり、これは定められた決まりごとの中で、いかにパフォーマンスを発揮できるかを見極められる難易度が高めのテストです。
他にもさまざまな種類の適性試験があり、採用企業側の求めている人材像とのマッチ度を測るために使われます。
2.コンサル転職の適性試験3つの対策ポイント
2-1.早期に対策を開始すること
多くの企業で適性試験は必須で、種類も多岐に渡ります。
書類選考を通過してから慌てることのないよう、早期かつ計画的に対策を進めておきます。
2-2.市販の対策本の反復演習
適性検査の対策本は多く刊行されており、容易に入手できます。
何冊もの対策本に手を出すよりも、1冊の参考書に絞って3周チャレンジしてみるなど、同じテキストを繰り返し取り組む方が、パターンや形式に慣れていくのには有効です。
その中で苦手な問題形式があれば、徹底的に反復演習をしておきましょう。限られたテスト時間の中で素早く処理するためには、数をこなして慣れるのが近道です。
市販本だけでなく、Webサイトで例題演習が出来る無料サービスや、有料で模擬試験を受験できるサービスもあるので、適宜活用するといいでしょう。
2-3.本番と同じ環境での演習
自宅受験型のWeb試験では、電卓と紙(立式や筆算)の両方を使うと最も速く解けます。
したがって演習でも本番でも、電卓と、紙や筆記具の両方を用意して臨むのがおすすめです。
適性試験は、限られた時間の中で大量の問題を解く必要があります。
演習の際は、時間配分を意識して解答する、選択問題では消去法で選択肢の幅を狭くしていくなどといった、細かいテクニックについても慣れておきましょう。
3.具体的な対策の流れ
3-1.適性検査の種類の調査
まず、応募するコンサルティングファームがどの種類の適性検査を出題するかについて調べます。
募集要項を見て確認する、転職エージェントに聞く、ネットで調べるといった方法で確認できます。
特にSPI、玉手箱、TG-WEB、GABは使われることが多いのでチェックしておきましょう。
3-2.市販の問題集での習熟
適性検査対策として、問われる中身だけでなく、出題形式そのものに慣れておくことも大事です。
本番が初見となって焦りを生まないよう、必ず事前にさまざまな出題形式に触れておき、既視感を持って本番の適性検査に臨めるようにしましょう。
適性検査の対策問題集は数多く市販されているので、入手して繰り返し解くのがおすすめです。
問題の難易度自体は義務教育レベルですが、学生時代のような試験勉強や問題形式から遠ざかっている方も多いかと思います。
大学受験や資格試験のような、新たに知識を入れ直す本格的な勉強は不要ですが、受験生だった頃の勘を取り戻すつもりで、ある程度の時間をかけて勉強していきましょう。
逆に、反復練習によってさまざまな問題に習熟し、アウトプットに慣れさえすれば、容易に対策できると言えます。
3-3.分野ごとの具体的な対策例
■言語対策:
ふだんの読書やリサーチ、情報インプット、ドキュメント作成など、業務内外におけるこれまでの言語活動が物を言います。コンサル転職を目指される方であれば、当然新聞などの主要メディアには触れているはずです。
ただしそのような日常や業務で磨かれる言語感覚だけでなく、適性検査に特有の対策も必要です。
具体的には、たとえば文章の趣旨の正誤問題の場合、素材文で言っていないことを勝手に想像で述べている、素材文の中に記述はあるが素材文の最重要な主張内容ではない等、言語問題の選択肢の中には紛らわしい選択肢が含まれます。
このような問題に対して「選択肢慣れ」しておくことで、選択問題で誤った選択肢を素早く消去できるようになります。ヒントは必ず素材文の中にあります。
■数的処理対策:
数をこなし、問題に慣れながら、身体で覚える感覚で取り組みましょう。問題の内容自体は、それほど難しいものではありません。数学の方程式を使うよりも、状況を図式に書いて、算数として解いた方が早い問題もあります。
電卓使用可/不可な場合の両方のパターンがありますので、どちらにも対応できるように正確かつスピーディーに解答できるようにしておきましょう。
■その他の分野:
言語や数的処理といったSPIの区分に収まらない、より高度な出題がなされる適性検査もあります。コンサルティングファームごとに実施される適性検査は異なりますので、必ずその適性検査に沿ったテキストを購入し、分野や出題形式などを確認し、実際に演習を重ねていくことが重要です。
4.まとめ
コンサル転職の選考対策の中心は適性検査ではなく、書類選考や面接対策です。
そちらの準備に力を入れるためにも、適性検査については早いうちから問題集に触れておき、限られた時間の中で効率よく学習していきましょう。
かつて受験勉強で結果を残した、中学受験の経験があるのでこの手のテストは得意、新卒の際にもSPIは得意だった等、過去にペーパーテストで結果を残してきた方ほど、予想外に足元をすくわれるケースが目立ちます。
適性検査に使われる各種の試験は、新卒の頃に受けたSPIよりはるかに高度な思考力や処理能力を問われるものもあります。かつて得意だったテスト形態でも、そのような頭の使い方から離れていれば、そのブランクの分だけ衰えていきます。
必ず、志望するコンサルティングファームが採用している適性検査の対策テキストを入手して、十分演習を重ねておきましょう。