転職の流れ~コンサルタント転職ノウハウ(1)~
コンサルティングサービス市場は、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みによる需要増を受け、拡大傾向にあります。それに伴い、コンサル人材に対しても旺盛な需要があり、転職市場も活況を呈してはいますが、人材確保のための採用基準が緩くなっているわけではありません。
ここでは、コンサルタントとして転職するに際して必要な準備や、選考プロセスを通過するためのポイントについて解説します。
1.コンサル転職の基本方針の決定
1-1.直接応募かエージェント経由か?
コンサル転職活動には、直接応募(自己応募)とエージェント経由で行う方法があります。直接応募の場合、求職者ご自身で整えたレジュメを確実に企業に渡せることや、企業と直接やりとりが出来るなどといったメリットもあります。
しかし、個人で集められる情報、特に応募先の求人票には載らないような内情のリサーチには限界がありますし、複数の選考を同時並行で進めるスケジューリングは想像以上に複雑です。
また、選考プロセスが進むにつれ、デリケートな条件交渉や入社時期の調整が必要な場面もあります。 上記のような事情を考えると、多くのコンサル転職に関わり、企業や採用現場の内情によく通じた経験豊富なエージェントを利用するメリットが大きいと言えます。
1-2.エージェント選定のポイント
コンサルの転職を支援するエージェントはたくさんいますが、どのエージェントを転職活動のメインのパートナーとして選ぶかは重要です。中には最低限のスケジューリングや単に案件を紹介するだけというエージェントもおり、エージェントの質もばらばらです。
コンサル転職のエージェントを選ぶ際は、コンサルティングファームの業界事情や選考プロセスに熟知していることはもちろん、求人票には現れないような求人側企業の内情や、募集ポジションの本当の趣旨や求める要件(例 求人票では尚可となっているが事実上必須要件であることなど)を把握しているエージェントが望ましいです。
また、コンサルは内定後の回答期限が7日程度と短い例も多く、複数の内定を比べて検討したい場合は、内定時期から逆算した複雑なスケジューリングが求められるので、スケジューリング能力の高さもエージェント選びにおいては重要です。
2.コンサルの選考プロセス
コンサルの選考から入社までは、大きく分けると次の6段階のフェーズを経て進んでいきます。
1.書類選考
2.適性試験・Webテスト
3.面接
4.内定
5.オファー受諾・退職活動
6.入社日まで
※転職活動開始から内定が出るまでは2か月、入社までは3、4か月というのがコンサルの平均的な転職活動期間です。
2-1.書類選考
コンサルティングファームへの転職活動の場合、書類選考期間はおよそ1~2週間程度です。書類選考では、過去の経験やスキル、学歴などの定型的な情報はもちろん、文章の構成力やロジック展開力、ドキュメント作成能力、注意力についてまでチェックを受けます。
積極的に加点を狙っていくというより、伝えるべき事項を明瞭に伝え、減点を避けることがまず重要です。
2-2.適性試験・Webテスト
書類選考を通過すると、大多数のファームは面接に進みますが、戦略系ファームの中にはここで適性試験を受けることになります。適性試験やWebテストには、リクルート主催のSPI、日本SHL社の玉手箱・CAB・GAB、ヒューマネージ社のTG-WEBなど、さまざまなものがあります。これらは知識や思考力、処理能力、内面的な性格等を確認するために実施します。
受験の形態には、1)テストセンターでweb受験 2)自宅PC受験 3)企業オフィスにてペーパー受験と、3種類のパターンがあります。適性試験・Webテストは、受験後7日間程度で合否通知が来ることが多いです。
2-3.面接
コンサルティングファームへの転職活動の場合、書類選考期間はおよそ1~2週間程度です。書類選考では、過去の経験やスキル、学歴などの定型的な情報はもちろん、文章の構成力やロジック展開力、ドキュメント作成能力、注意力についてまでチェックを受けます。
積極的に加点を狙っていくというより、伝えるべき事項を明瞭に伝え、減点を避けることがまず重要です。
2-4.内定
すべての面接を通過した後、コンサルティングファームから内定を受けます。内定通知の後に具体的な条件についてオファーがあります。オファーを提示されてから7日間程度の回答期限を設けられていることが多いです。
したがって、複数の選考を同時並行で進め、複数の内定から選びたい場合は、予想内定時期が最長でも誤差1週間以内に収まるよう、逆算して選考のスケジューリングを行う必要があります。
2-5.オファー受諾~退職活動
オファーを承諾するということは、現段階で所属している企業に対し、退職する旨を伝えなければなりません。通常、企業は人員確保や引き継ぎ事項など諸手続きがあるため、1〜2ヶ月前に退職を申し出なければならないと就業規則などに記載されています。自分の所属する企業がどのように就労規則を記載しているか確認しておいてください。
コンサルティングファームへオファー承諾をすると同時に、退職活動を進めていきます。現在所属している企業の直属の上司へ退職したい旨を報告すると、面談等が設定されます。後日、直属の上司の上司や人事部の面談がセッティングされ、そこで退職する月日が決まります。
その後、同僚への引き継ぎ等や、人事部における事務手続きを行い、雇用関係の終了と、次のコンサルティングファームへの入社に向けて準備をします。コンサルティングファームと具体的な入社日を決める際は、前述した通り、すぐに現勤務先を退職できるわけではない点に留意しつつ、転職先においても、基本的に早期に参画することが望まれている点にはご注意ください。
現勤務先においてはしっかり段階を踏んで報告することで、退職する意思が堅いことを主張し、円満退職をして、新たな転職先へと向かいましょう。
積極的に加点を狙っていくというより、伝えるべき事項を明瞭に伝え、減点を避けることがまず重要です。
2-6.入社日まで
入社日ギリギリまで前職の企業で働かなければならない方もいれば、有給休暇が残っていたため消化する方もいます。入社日までの空いた時間は、転職先に参画する前の準備期間として捉えましょう。リフレッシュして気持ちの面で切り替えを行ない、入社手続きに必要な書類を揃えたり、転職先における業務について自分でリサーチを進めてもよいでしょう。
環境の変化により、転職後しばらくは心身ともに疲労が重なりがちであることも想定し、新天地でスムーズに業務に入っていくために、健康管理をしっかり行っておくことも重要です。
3.書類不通過の基準について
面接の前段階においては、書類選考NGとなる基準が存在します。面接の前に一定の基準を設けることで、人材の質を保ちつつ、面接に割くリソースを効率化するという面もあります。
書類選考では経験やスキル、学歴はもちろんですが、コンサルに必須の論理構築力や、ドキュメント作成能力も見られます。誤字脱字もしっかりチェックされます。
適性試験では計算能力、思考能力、事象を構造化して捉える分析力や、仮説思考力の有無がチェックされます。 通常面接では論理性や思考能力、コミュニケーション能力、協調性、プロフェッショナルとしてのマインド面などがチェックされます。
4.まとめ
コンサル転職を成功に導くために大事なのは、エージェント選びやスケジュール管理、そして事前の周到な準備です。転職活動の準備段階から入社日まで、数ヶ月単位の長い期間が費やされます。
転職成功に向けてエージェントと作戦を立て、スケジュール管理を綿密に行い、選考プロセスを一歩一歩確実にクリアしていきましょう。