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他社事例を求めるクライアントの言葉の裏に潜んでいるホンネ ~相手を観察して、精度の高いアウトプットを出すには~

更新日 2022/05/16
クライアントと接していると、他社事例の紹介を要求されることがあります。その言葉をそのまま受け止めて、社内の事例をかき集めていませんか?迅速に対応したいのは、やまやまでしょうが、ここでひと呼吸おいて、言葉の真意を探ってみることが重要です。
クライアントの言葉の真意について仮説を立て、それに沿った内容の事例を紹介することで、精度の高いアウトプットとなり、信用度も増し、案件のクロージングといった業務のゴールへ近づくことになります。
また、クライアントの真意を踏まえたうえで、自らのエネルギーの配分をコントロールすることが出来て、生産性を向上することが出来ます。
かくゆう筆者は、12年間のSE経験ののち、8年間外資系コンサルタント会社にフリーランスで契約し、戦略、IT、PMOコンサルタントとして活動していました。当時、クライアントとの人間関係構築や真意の把握に苦労した経験を持っています。そのころから、心理学、コミュニケーションについて学びはじめ、業務で実践して、とても効果的だったと実感しています。本記事を読んでいただき、精度の高いアウトプットを作成し、生産性向上の一助になれば、幸いです。

1.クライアントの言葉に潜んでいる4つのパターン

新規案件の提案、ソリューションの提示の際、事例紹介の要求があります。なぜ、クライアントは「他社事例を紹介して」という言葉を発したのでしょうか?これから、4つのパターンとそれに対する方策を挙げていきます。言葉の奥底に隠れているホンネの部分を推測して、クライアントにとって、自社にとってWIN-WINの関係を構築できるような情報を提供するよう心掛けたいものです。

1.安心材料が欲しい

「このコンサルタントは、経験が豊富だろうか?」「この人の所属しているコンサルティングファームは、ノウハウを持っているのだろうか」と、思っているケースがあります。 すなわち、コンサルティングファームの力量を試しているのです。この分野ではスペシャリストであり、このコンサルタントにまかせて大丈夫という安心材料が欲しいのです。この場合、クライアントの事業規模や形態に近しい状況を分析して、適切な事例を提示すると、信用度が増します。

2.自分たちが実験台になることを恐れている

プロジェクト体制で仕事を進めるうえで、クライアントにとって、「自分が関わっている仕事では、失敗は避けたい」という気持ちが、根強くあります。万が一、プロジェクトがうまくいかない場合、外部から呼んでいるコンサルタントは、社内には残りませんが、クライアントは自社に残らなければなりません。コンサルタントにとっては、成功も失敗も経験値となり、今後の業務に活かせますが、期間限定でのプロジェクトが終了したのち、社内でのフィードバックを一身に受けるのは、プロジェクトに関わっていた社員であるクライアントです。 「自社がコンサルタンティングファームにとって、初めての試みでない証明が欲しい=実験台になりたくない」というのが、ホンネです。 特に、コンサルタントにとっても、初の試みであるソリューションを提示する際は、クライアントの心理を汲んだ提案が必要となります。この場合、双方にとってチャレンジとなることのリスクと、クライアントにとってのメリットを提示する必要があります。

3.コンサルタントが公平な視野に立っているか知りたい

クライアントと信頼関係を持ちたい気持ちが強くあり、ついつい、成功事例、うまくいった個人的な体験を伝えたくなります。しかし、クライアントごとに様々な事情があるため、事例や過去の成功体験が、そっくりそのまま横展開できるとは、限りません。プロジェクトが進み、万が一トラブルが発生した場合「事例紹介では、うまくいったのに、どうしてウチのプロジェクトだけうまくいかないんだよ!コンサルタントは、何か隠していたんじゃないか?」「コンサルタントの営業トークに、まんまとハメられた」という声をクライアントから聞いたことはありませんか? コンサルタントには、成功事例のみならず、うまくいかなかったことも、公平に提示する誠実さを求めています。この場合、案件クローズ、ソリューション採用という業務目標に沿って、ポジティブ事例の中にリスクとなるネガティブ要素も盛り込むことが必要となります。 必要以上にクライアントを不安にさせない、また、期待させないプレゼン能力も必要となってきます。

4.単に情報が欲しい

特にPUSH型営業をした場合は、クライアント当人にとって必要性に気づいていないため、情報だけ取り、案件に発展させる予定は、ありません。 コンサルタントを通じて、業界の動向を、コストをかけずに知りたいというのがホンネです。 すぐ、案件に発展させるよりは、将来の見込み顧客となります。この場合、コンサルティングファームにとっては、貴重なノウハウを提供するわけですから、今後の見込み顧客となるように、興味を持ってもらうことが、重要となります。具体的には、コンサルティングファームの概要、経験した案件の規模やそれに関わった要員の特徴を伝えて、興味、関心を引いてもらい、先方からアプローチをしたくなるプレゼンをしてください。PULL型営業へ転換することが、業務のゴールとなります。

2.クライアントのホンネを推測する方法

事例紹介を求められるのは、ファーストコンタクト時なのか、案件提案時なのか、ソリューション採用時なのか、タイミングによっても様々ですが、クライアントのホンネを推測する3つのステップがあります。基本的には、仮説を立てて、検証をおこなう繰り返しになりますので、順を追って、説明します。

1.クライアントの態度を観察する

人と人とのコミュニケーションには、言語(バーバル)のみならず、非言語(ノンバーバル)の部分すべてから情報が発信されています。 心理学者のアルバート・メラビアンが、発見した「メラビアンの法則」によりますと、聞き手が、話し手から得る情報は、視覚情報が55%、聴覚情報が38%と、これで、93%を締めており、言語情報は、わずか7%です。「他社事例をご紹介ください」という言語情報だけとらえたのでは、わずか7%でしかないのです。残り93%の情報をしっかりカバーするよう、相手の態度を観察してみてください。 視覚情報 ・視線は、泳いでいませんか?ちゃんと目と目が合っていますか? ・姿勢はまっすぐでしょうか?斜めに構えていますか?前のめりでしょうか? ・態度は、言葉の一つひとつに対して、うなずいてくれていますか?それとも、腕を組んで だんまりでしょうか? ・呼吸は、早いですか?ゆっくりですか? 聴覚情報 ・声のトーンは、荒々しいですか?いきいきしていますか?それとも、おどおどしていますか? ・話すスピードは、速いですか?ゆっくりでしょうか? これらの情報について、信頼⇔疑い、友好的⇔攻撃的に分離してみました。姿勢が前のめりであったり、腕を組んでいる態度は、相手の癖や思惑が反映していますので、相手との対話にて真意を確認してみてください。そのほかの姿勢や態度、視線、呼吸、話し方については、話ながら察知して、リラックスする雰囲気をつくったり、相手の疑いを明らかにするなどの行動をとってください。 それらを踏まえたうえで、相手の真意について、仮説を立ててみてください。 「安心材料が欲しい」「実験台になることへの恐れがある」「公平性を試している」「単に情報が欲しい」のパターンに分けてみてください。そこから、「相手に質問する」ということで、検証プロセスに移ることにしましょう。

2.質問をして、仮説の検証をする

このプロセスは、仮説を検証するため、相手に質問をしていきます。質問にも2通りあり、クローズド・クエスチョンとオープンクエスチョンがあります。 クローズド・クエスチョンは、問いに対する答えが、「YesかNo」という二者択一のものです。そこからさらに会話を発展させることはありませんが、質問する側が、気持ちを代弁していることをアピールする絶好のチャンスとなります。「我々の経験値をお知りになりたいのですね?お察しします。」「初めての試みで、リスクが高いとお感じになってはいませんか?」など、声をかける気持ちで、問いかけてみましょう。いっぽう、オープンクエスチョンは、質問する相手に、自由な発想をうながすものです。 「これについて、いかがお考えですか?」「なぜ、そのようにお感じになりましたか?」と、問いかけ、相手の答えをもとに、会話を発展させて、具体的なイメージをつかむ方法です。自分ひとりの知恵では、及びもつかない、相手の発想を引き出せるチャンスです。しかし、続けていると、質問される側は、尋問や詰問のように、感じてしまいます。クローズド・クエスチョン、オープンクエスチョンを組み合わせて、仮説の検証を行うようにしてください。

3. 要求に対して、自分のアウトプットイメージを伝え共感を得る

あらかた質問を終えて、自分の中で、クライアントのホンネに確認が持てたと感じたタイミングで、 アウトプットのイメージを共有してみましょう。「あなたのご要望は、これなのですね」という、メッセージを伝えることで、お互いの認識齟齬を防げますし、自分の作業を効率的に進められ、生産性が向上します。また、「話がわかるコンサルタント」として、相手との距離も近くなり、信頼関係が構築しやすくなります。

3.まとめ

いかがでしたか? 事実の収集⇒仮説⇒検証は、コンサルタントとして、慣れ親しんだプロセスです。それをクライアントとのコミュニケーションでも、応用させて、信頼関係の構築に活用してみてください。 ・自分の生産性向上のためにも、クライアントのホンネに興味を持とう ・クライアントの非言語(ノンバーバル)のメッセージから情報を受け取ろう ・事実の収集⇒仮説⇒検証と共感で、クライアントとの信頼関係を構築しよう
執筆者:年名 佐葉子

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