1)現状把握・調査力、事実を整理し、分析するスキル

コンサルタントは、決して過去に蓄積した知識や経験や想像力のみで提案や課題解決を行うのではなく、プロジェクトごとに市場や企業・組織内にある事実・事象などの「ファクト」を正確に調査し、把握することを最初に行います。

調査を実施するコンサルタントのポジションとしては、入社間もないアナリスト、アソシエイト等がメイン業務として行うところではありますが、コンサルタント、マネージャークラスでも、事実を正確につかみ、整理する基本的なファクトベース思考は変わりません。

経営・マネジメントにも関わるITコンサルタントにおいても、現状のシステムの状況、現状の業務フロー、経営や業務などにおける課題、を正確に把握して分析しなければなりません。時にはシステム設計書を精査するだけでなく、現場スタッフへのインタビュー、ヒアリングを行い、現場の生の声を集めて課題整理を行うこともあります。

グレイヘアーコンサルティングから、ファクトベースコンサルティングへ

なお、かつてのコンサルティングでは「グレイヘアーコンサルティング」と言われ、経験のあるコンサルタントが長年蓄積してきた経験と知識から経営幹部にアドバイスを行い、ときにはささやき、動かすことが「コンサルティング」とされていた時代がありました。

しかし、現在では「ファクト」に基づいて分析をして、仮説立案、戦略策定~実行フェーズを行うことが主流です。インターネットが発達した今、ある意味、専門的なコンサルタントが分析しなくても、世の中のだいたいの情報はすぐに集めることができるようになりました。そのため、昨今ではコンサルタントが「コモディティ化」してしまっているという評価もあります(「高級文房具」化しているなどと揶揄されることもあります)。

2)ロジカルシンキング(論理的思考力)

物事を論理的に捉える思考方法=ロジカルシンキングは、コンサルタントに求められる代表的な必要スキルということは誰しも疑わないでしょう。論理的思考は、散在する情報を漏れなく捉えて分類・体系的に整理することで全体を俯瞰しやすくするためにも重要な思考方法です。また、そこから課題がどこにあるのか、を発見することにもつながります。

ロジカルシンキングの「思考」と「ツール」

コンサルタントは、思考としてのゼロベース思考フレームワーク思考オプション思考(選択肢思考)プロセス思考(AIDMAの法則)などの思考法(アプローチ)を活用し、プロジェクトにおける事象を整理していきます。

ロジカルシンキングの手法(ツール)としてロジックツリーマトリックス(PPM分析、SWOT分析など)フレーム(5フォース、3C分析、4P分析)フロー、を活用しながら、部分だけでなく全体を俯瞰してみることができるようにしていきます。

コンサルタントにおけるロジカルシンキング

このロジカルシンキングのスキルは、駆け出しコンサルタント(アナリストやアシスタント)が徹底的に鍛えられるところでもあります。当然の背景的スキルとして、コンサルティングファームの面接試験や、コンサルタントが転職する際の面接などでも特に重視されます。

また、ITコンサルタントでは、業務フローを正確に調査・整理し、精緻なシステム構築戦略や設計を求められる場面もありますが、ここでもロジカルシンキングは必須のスキルです。ロジカルシンキングによる情報の整理整頓ができないと、ITコンサルタントどころかSE(システムエンジニア)の業務も務まらないので、システム開発などの場面では、特に求められるスキルです。なお、ITコンサルタントのポジションについているということは、ロジカルシンキングが当然にできていることが前提なので、ITコンサルタントの方にとってはロジカルシンキングのスキルは問題とならないかもしれません。

「フェルミ推定」もロジカルシンキングの一つ

さらに、戦略系のプロジェクトでは、およそ試算するにも情報を集めないとできないような調査もあります。ニッチな業界で分析や仮説設定に必要な統計的なデータが取得できないような場合もあります。

このような場合では、実際に調査しないと分からない数量を論理的に概算する「フェルミ推定」を現場で活用することもあります。コンサルティングファームの入社試験で、「日本のソバ屋は何件あるか」「毎年マスクは何枚売れるか」というような問題が出されることもあります。

ロジカルシンキングには限界もある

もっとも、このロジカルシンキングも最低限のスキルであり、ロジカルシンキングを身につけておけば十分というわけではありません。なぜなら、ロジカルシンキングは論理的に結論や解決策を導く思考法のため、優秀な学歴やコンサルタント経験のバックグラウンドをもつ専門家が分析や仮説立案を行っても、皆同じような結論にたどり着くことになる可能性が高いからです。

例えば、もし競合企業が同じような思考と結論に基づいて戦略を立てた場合、実行フェーズにおいても自社企業と同じ施策が「被って」しまうことになり競合優位性を維持することができなくなります。

そのため、ロジカルシンキングの限界もあり、未来予想図を描く「想像力」、「クリエイティブさ」「先見力」が必要となります。A・T&カーニー元代表 岸田雅裕氏も、コンサルタントの「先見力」が重要、「ロジカルであるだけでなく、クリエイティブであれ」と著書で記しています。ロジカルシンキングを前提としながら、さらに先見的な見方の重要性を説いておられます(「コンサルティングの極意」岸田雅裕著 東洋経済新報社)。

3)業界情報をインプットするスキル

クライアントの課題を解決するためには、そのクライアントの業界知識は必須となります。

コンサルティングファームでは、各業界におけるナレッジが蓄積されており、所属するコンサルタントがそのナレッジを活用できるようになっていることが多いですが、そのコンサルタントの知見・知識として、プロジェクトに必要な業界情報を素早くインプットすることも非常に重要になります。また、その際に情報を調査するツールなども使いこなす必要もあります。

コンサルタントは、さまざまなプロジェクトにおいて、各業種や業界の知識を蓄積していくため、各プロジェクトでの業界情報のインプットが次のプロジェクトでも大いに役に立ちます。

組織人事系コンサルタントにおいても、クライアント企業をとりまく市場動向、業界の背景的知識、業界における一般的な働き方など、業界情報のインプットは必須です。また、ITコンサルタントにおいても、ツールとしてのITを活用する場合、同様に業界情報を背景知識としてインプットしておくことが求められます。

当然、コンサルとして転職する際にもコンサル業界に関する背景知識をインプットする必要があります。
コンサルに求められるスキルは転職前から求められているといっても過言ではありません。
効率よく情報収集を行うことで、業務も転職もスピード感をもって動くことができます。
コンサル業界の情報は、コンサルティングファームとしての実績も19年、現場の知見が豊富なハイパフォキャリアにお任せください。

4)コミュニケーションスキル(聞くスキル、巻き込みスキル)

コンサルタントは、クライアントと対等の立場で戦略や問題の解決策を提案することが本質的な仕事と言われていますが、決してクライアントをうまく言いくるめたり、持論を展開することが重要なのではありません。クライアントの意見や考えていることをよく聞き、クライアントと一緒になって解決策や戦略・方針を立案する姿勢が重要です。

 

もちろん、クライアントよりも、コンサルタントの方がその課題に対する解決策や実行施策について知見を得て豊富にもっていることはあります。しかし、コンサルティングの要諦は、クライアントからの納得を得ながら、あるべき方向性に動かしていくことです。言い方を選ばなければ、クライアントが「コンサルにうまく転がされたな」と感じても、納得しながら進められていれば、そのコンサルティングは順調に進んでいるとも言えます。

また、コンサルタントは、プロジェクトの際にクライアント企業に常駐することも多く、担当部署の担当者だけでなく、経営陣ともコミュニケーションする場面が多くあります。その際に、うまくコミュニケーションをとり現場の信頼を得るスキルがプロジェクト進行上も重要になります。

5)問題を解決するスキル・能力

コンサルタントは、各種調査や仮説に基づき、経営的な課題、ITの課題、組織等のさまざまな課題や問題を解決することが求められています。戦略系ファームにおいても、職種や業界、特定のクライアントに限定されない「汎用的な問題解決力」と問題解決のための各種施策を推進するリーダーシップが問われます。戦略立案、施策実行計画を練ることも問題解決力の一つと言えます。

かつて戦略コンサルティングファームでは、さまざまな分析を行い、分析結果と解決方法に関する資料を作り込み、経営ボードに提案し、プレゼンテーションを行ったらミッション終了という時代もありました。

しかし、現在では成果を出すことが求められてきています。先述したロジカルシンキングなどに基づき、事象を分析して打ち手を提案するだけでなく、どのようにそれを実現し、誰がどのような形で関わり、いつまでに完了するのか、など実行フェーズまでスコープ(業務範囲)とするファームが増えています。実行フェーズにおいても、問題や課題が出てきたときに解決するスキルも重要になります。

ITコンサルティングの場面では、パッケージの導入支援からグローバルなIT戦略立案と実行まで行うケースもさまざまありますが、いずれの場合でも何を解決するのか、どのように解決するのか、などを立案し実行に移すことがコンサルタントには求められます。

コンサル転職では、コンサルタントとしての経験があればその際の問題解決手法や自身の立ち回りに関する実績。
未経験の場合では自分から課題を見据え、提案・解決した実績を問われます。未経験の場合は特に、泥臭く徹頭徹尾課題に取り組み、解決まで導けたかどうかが重視されます。
レジュメでの実績の伝え方次第で、能力やポテンシャルの高さをアピールすることが可能です。
コンサルとしてのスキルの適切な伝え方が気になる方はぜひご相談ください。

6)進捗管理スキルと、落としどころを見極めるスキル

コンサルタントが、スケジュールを決めずにプロジェクトを推進することはまずありません。そして、コンサルタントは、設定した各フェーズにおけるタスクやプロジェクトメンバーの開発等の各進捗を逐次把握することが求められます。

プロジェクトの遅延は、コンサルタントたちの人件費増をまねき、ひいては、プロジェクトの赤字にもつながりかねないからです。そして、推進の妨げとなる課題や事象が出てきた場合には、素早く対処方法を考え、手を打つことが求められます。そのため、進捗管理をするスキルは、コンサルタントにとっては非常に重要なスキルと言えます。

「落としどころ」を見極める

また、先に立てたスケジュール通りの進行が難しい場合は、「落としどころ」を見極める必要があります。時にはリスケジュールすることをクライアントに相談し、承認を得る折衝を行わないといけない場面もあります。

ここで二度目のリスケジュールを行うこと、そのコンサルティングファーム、コンサルタントの手腕が疑われてしまうため、保守的な日付に再設定されることが多いです。ただし、あまりに伸びてしまうと、クライアントからクレームを受けることも予想され、また、クライント都合ではないリスケの場合は、追加請求も見込めないため、赤字プロジェクトになってしまう可能性があります。

そうならない絶妙な「落としどころ」の期日を見極めることがコンサルタントとして求められるスキルでしょう。もっとも、予めスケジュールを組む際に、さまざまなリスクを想定して設定する必要があるため、リスケジュールするような場面がないようにすることもコンサルタントにとって重要なスキルです。

7)突破するスキルとやりきる能力

コンサルタントのプロジェクト期間は、短ければ3か月~ITコンサルティングでシステム開発が伴う場合は数年に渡ります。プロジェクトの途中断面で、困難な課題にぶちあたることも多くあります。コンサルタントは、高い報酬を得る代わりに、期間内に問題を解決することなどを求められます。

プロジェクトでは、関係者や事象が複雑に絡み合っていて、解きほぐすことが困難に見えることもあります。そんな難易度の高い課題に直面したときに、真正面から向き合い、その状況を突破して「流れを変える」ことを求められる場面もあります。

根性論ではありませんが、コンサルタントにはそういった状況下でも、プロフェッショナルとして「必ず突破してやりきる」という強い意思をもっておくことが求められます。アソシエイトやアナリストの時期には、そこまで困難な場面に立ち会うことはないかもしれませんが、ポジションが上がるにつれて、難しい課題に向き合わなければいけない場面が増えていきます。そこでは、現状を打破して突破するスキル、そして、プロジェクトをやりきる!というスキル(マインド)が重要です。

まとめ

コンサルタントに求められる必要な代表的なスキルをご紹介しました。コンサルタントのタイプによって、求められるスキルや必要とされる能力は異なりますが、コンサル転職をお考えの方は、ぜひハイパフォキャリアにご登録、ご相談ください。

<参考文献>
「コンサルティング入門」内田和成(元ボストンコンサルティンググループ)GOMA BOOKS
「コンサルティングの極意」岸田雅裕(A・T&カーニー元代表)東洋経済新報社
「コンサル業界の動向とカラクリがよくわかる本[第4版]」廣川州伸著 秀和システム
など

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